社交不安障害

社交不安障害とは

他人に注目される状況で行動することに不安を感じて、生活に支障をきたし悩む病気です。人前でスピーチをする・会議でプレゼンする・偉い上司の前で報告する・人前で字を書くなどの際、顔が赤くなったり、引きつってぴくぴくしたり、声や手が震えたり、汗をひどくかいたり、お腹が鳴りそうになる、ガスが出そうになるなど、人によって様々な心身の症状が出るために、思い悩み、緊張するまいと思うほど緊張して症状に苦しむ状態です。日本では、古くは対人恐怖症といわれており、神経症の一種です。

人間誰しも、人見知りしたり、照れてうまく話せなかったりはあるものですが、これは性格の問題ではなく治療によって改善される心の病気です。思春期に発症しやすい病で、未治療だと多くは慢性の経過を辿り、中老年期まで持ち越すこともままあります。場合によっては、この病の為に、昇進など大事な機会を諦めてしまう人も多いかもしれません。

この病気は、国民の一割以上にみられるようですが、もっと多いという見解もあり、決して特殊な病気ではありません。核家族化が進む現代においては、増加しているのではないでしょうか。

原因

原因は、他の不安障害と同じく脳の伝達物質(主としてセロトニン)が一時的に異常をおこしているようです。「人前で失敗した」体験が契機になって発症することが多くあります。社交不安障害になりやすい家系というのもあるようです。

治療

治療は、一般的にはまず薬物療法が行われます。抗うつ薬SSRI・抗不安薬などを症状によって加減して使います。認知行動療法・分析的心理療法などの併用が治療効果をより高めます。日本独自の治療法として、森田療法が有名ですが、これを行っている施設は限られるかもしれません。

社交不安障害の患者さんは、治療に辿り着くまでにかなり時間がかかる方が多く、長期間一人で苦しんだり、家族に「気の持ちようだ」などと言われて苦しんでいることが多いものです。
限りある人生の時間を大切にする為にも、早期に治療することが望まれます。

投稿日:2014年1月8日|カテゴリ:最新の医療情報