パニック障害(不安神経症)について
パニック障害とは、疲労や緊張の多い生活を続けたり、楽しく遊び続ける、といったいつもと違う生活を続けたあと、急激に、パニック発作が起こることを言います。
パニック発作は自律神経の身体の症状と情動の不安の症状と記憶の症状からなります。
自律神経の身体の症状
自律神経の身体の症状としては、動悸、めまい、過呼吸、過呼吸発作、過換気発作、フワ―とした浮遊感、冷や汗、暑い感じ、発汗などの症状です。
情動の不安の症状
情動の不安の症状としては、表現できないほどの不安、恐怖、異常感などが生じます。発作を起こした人の多くは救急車を呼びます。あまりの異常さにこのまま死んでしまうのではないかと強い不安を感じるからです。
飛行機、美容院、降りられない乗り物の中などにいて救急車が呼べないときには生涯忘れられないほどの強い不安に苦しむことになります。救急車をよぶことができて病院に着いたころには何となく症状はおさまっていることが普通です。念のため診察と検査をうけると、特に症状の原因になる心筋梗塞や脳卒中などの重大なことはないこと、もう帰宅してよいことを告げられてしまいます。
パニック障害のひとが、病院で重大なことはないといわれ不安な日々を過ごすうちに次のパニック発作がおこるのではないかと不安になりますが、この不安を予期不安とよびます。予期不安はつぎのパニック発作の準備状態となり、やがて2回目のパニック発作がおこります。これの繰り返しで、パニック障害は慢性化・固定化して治りにくくなります。
記憶の症状
記憶の症状は、パニック発作の症状として重要です。何月何日ということは忘れても、あの時あの場所あの状況で初回のパニック発作が起こったことは鮮明にご本人の記憶に残ります。
パニック障害の治療で大事なことは初回発作後の早い時期の薬物療法です。安定剤などの薬が用意されていますのでほとんどのかたのパニック障害は「薬物療法」と「通院」で解決します。
当院の治療としては初回発作時と似た状況や場所にご本人が行くこと避けるようにお勧めしています。むりに身を曝す方法はやないクリニックではお勧めしていません。自然に治療が進むにつれ、行けるようになります。
自律神経の症状と情動の不安の症状と記憶の症状がなぜそろって起こるのでしょう。それは脳に大脳辺縁系と言われるところがあって大脳辺縁系は自律神経、情動、記憶の中枢なのですが、その大脳辺縁系脳の興奮が原因だからです。セロトニンなどの脳内の神経伝達物質の異常も関与しています。
カウンセリングでは、なぜ、ご本人はいつもと違った生活を続けたのか。なぜ、パニック発作という注意信号を脳が出してくれたのか、ご本人の生活のどこに無理があったのかなどをみずから、答えを見つけるために有効です。