認知症について
認知症の中核症状は記憶の障害と認知の障害です。
記憶の障害
記憶の障害は、新しい事を忘れやすく、昔のことはよく思い出します。食事が終わると、すぐに「食べていない」と言いだしたりします。これが「食べさせてくれない」と言うようになると、介護している人の悩みの種になります。
認知の障害
認知の障害は、夫/妻の顔が判らなくなったりすることです。
認知症の周辺症状と言われるものに、火の不始末、徘徊、昼夜逆転、介護への抵抗、暴言・暴力、しつこいくり返し、幻覚・妄想、性格変化の問題などがあります。
医師の診断では、普段のご本人の様子をよく知っている人が、ご家庭での様子を教えてくださること、改訂長谷川式簡易スケールと言われる全国共通の検査をお受けいただくことCTやMRIなどの画像診断をうけること、などが重要です。
認知症にはアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管型認知症などがあります。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、徐々に始まり、常に進行性です。脳の神経細胞の減少、海馬と言われる部位の委縮、脳に老人斑やアルツハイマー神経原線維変化と言われる所見がみられることなどが特徴です。治療としては、病気の進行を遅らせる薬物療法があります。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、アルツハイマー型に似た経過をとりますが、幻視とパーキンソン症状をともなうものです。「人が立っていた」など自分に影響の少ない人ごとのような幻視が多いのが特徴です。神経細胞のなかにレビー小体と言われる所見がみられます。
脳血管性認知症
脳血管性認知症は、粗大な脳梗塞による場合のほか、顕微鏡で見て、やっと判るような小さな脳梗塞が脳に無数にできることによって生じる認知症です。急に悪化してそのあと安定し、また急に悪化してそのあと安定するという、階段状の進行をとります。
診察では、このような認知症について、症状、治療、今後の見込み、介護の問題、介護専門職のサポートなど、最適のアドバイスをいたします。
介護は、ご家族皆様のご理解とご協力があれば、順調に進みます。介護保険の導入、介護調査、介護認定を受けること、ケア・マネージャーとのうち合わせ、ケアプランの作成などによって、老人保健施設などでデイサービスやショートステイを受け、特別養護老人施設などの施設入所も場合により必要になります。
ご家庭では介護している人が、介護疲れのせいで、共倒れにならないようにすることが大切です。